2011年5月6日金曜日

東京で空気中のちりの中の放射能濃度がもっとも高かった3月15日10時から11時に、東京の空気中に浮かんでいたチリは(立方メートルあたり)、 ヨウ素131が241ベクレル、 ヨウ素132が281ベクレル、 セシウム137が60ベクレル、 セシウム134が64ベクレル でした(放医研データ)。

元原子力安全委員 専門委員
中部大学教授の武田邦彦氏の分析です。

福島原発の爆発があって1日後、東京の空気中の放射線は急激に上昇し、新宿などで1時間あたり1マイクロシーベルトに達していました。
この放射線は福島原発から直接、東京にいる人の体までやってきたのではありません。もし、そうなら放射線は光の速さですから一瞬にうちに来ています。
でも、福島原発から放射性物質のチリが舞い上がり、それが風に乗って東京に来たから1日も経ったのです。

東京で空気中のちりの中の放射能濃度がもっとも高かった3月15日10時から11時に、東京の空気中に浮かんでいたチリは(立方メートルあたり)、
ヨウ素131が241ベクレル、
ヨウ素132が281ベクレル、
セシウム137が60ベクレル、
セシウム134が64ベクレル
でした(放医研データ)。
爆発直後だったので、半減期が8日のヨウ素131と、半減期1時間あまりのヨウ素132が同じぐらいの放射線を示します.
また、半減期2年のセシウム134と半減期30年のセシウム137も同じぐらい測定されています.
・・・・・・・・・
この1時間に東京の人が呼吸することによって被曝する量(被曝期間についてはややこしいので割愛しますが、値は1時間あたりです)は、
ヨウ素131 :   1.65マイクロ
ヨウ素132 :   0.0244マイクロ
セシウム137 :  2.16マイクロ
セシウム134 :  1.18マイクロ
で、合計 5.0マイクロシーベルトにもなっていました(成人、呼吸量22立方メートル、ヨウ素132は係数が低い)。
つまり、外部から1マイクロ、呼吸によって体内に取り込まれた放射性物質による被曝が5マイクロで、合計6マイクロだったことが判ります.

外部被曝より内部被曝が多いことに注意してください。
1年は8760時間ですから、6マイクロに8760をかけると、
東京の人の一年の被曝量予想・・・53ミリシーベルト(1年)
という危険な値だったのです.
私が東京から離れるか、もしくはマスクをつけて口から入る放射性物質を防ぐことが大切と言っていたことに相当します.
・・・・・・・・・
ところが、それから2ヶ月(まだ2ヶ月は経っていませんが)、
東京の空気中の放射線量は、0.07マイクロ(毎時)で、
空間線量率は、ヨウ素131が0.0007ベクレル(立方メートル)、
ヨウ素132は測定出来ないほど低く、
セシウム134が0,0021、
セシウム137が0,0020になっています(公的データだからやや信頼性に不足する)。

2ヶ月で二つの公的データは、1万倍以下になっていることが判ります。
すでに東京では「マスク」は不要になり、食材を注意していれば、空間からは1年に0.6ミリシーベルトの被曝を受けるに過ぎません.
「原発事故は最初の一撃を避ける事」という大原則がデータでも実証されました。政府は国民に逆のこと(最初は「健康に影響はない」、4月に入って「健康に注意」)を言っていましたが、問題でした。
ところで、1年の推定被曝量は、
1)3月に東京にいてマスクをしていなかった人: 2.6ミリ
2)3月に東京にいてマスクをしていた人:    0.7ミリ
3)3月に東京から避難していた人:       0.6ミリ
となります。限度が1ミリですから、3月に東京から離れた人は、これから0.4ミリ分の放射性物質を含んだ食材を食べる「余裕」があるとも言えます.
わずかな期間ですが、最初が肝心です。
(平成23年5月5日 午前10時 執筆)