2011年3月23日水曜日

民風土俗-奥三河花祭にて(1977年)





撮影の仕事柄
早起きは問題ない。
と思っていたが
仕事の早起きは
緊張感もあるので遅刻は全くないが、
プライベートとなると
やはり気がゆるむ。

昨晩は10時ころには寝付いたのに
ぼんやり目が覚め明け方かと時計をみると1時50分。
このまま起きてしまうのも
やや早すぎる。
が、一度起きたらなかなか寝られない。
結局、3時ころ寝入ったようだが、
こんどはアラームをかけた5時に
一瞬起きたが、音を止めて3度寝。
それでも
6時に目が覚めたので
6時半スタートで8時までのウォーキング。
少し冷えたが、
いつもと違う太陽の角度を感じながら5.5キロ。

20歳のころ5年ほど
愛知県の奥三河地方に伝わる「花祭」を
正月になると撮影に出かけていた。
(ちなみに4月の仏様の花祭りとは無関係)
この花祭は、
集落ごとに夕方から朝まで踊り明かす。
集落の開催日が微妙に異なったり同じだったりと
10日間ほど続く。

撮影はその日程を追いかけるように移動する。
とうぜん、祭りを支度する日中の風景から
日を改めた終わりの直会(なおらい)まで
撮影し続ける。
村人から一升瓶のラッパ飲みでのお祝いをいただき
ほとんど酔っぱらいながらの撮影である。

車の中で
30分とか1時間の仮眠、
またシャッターを切る。
これが10日続くと
疲労困憊ではあるが
体は動くのである。

独特の笛と太鼓、
浴びるように吞む酒。
これはもうトランス状態なのかもしれない。

インドネシアのバリのケチャ(写真下)
アフリカのガボンのリズムに
匹敵するという音楽研究家がいた。




1977年新宿プラザホテルNIKONサロンでの個展
「民風土俗-奥三河花祭にて」はその集大成だった。

ここからは写真のプロセスの専門的なことになるので
読み飛ばし歓迎。
通常、フィルムの現像液は
摂氏20度で10分前後。
それを
30度で30分近くと
フィルムの乳剤が溶けるかどうかという極限での現像。
現像したフィルムは、
光にかざしてもほとんど透けない真っ黒。
これを引き伸ばし機にかけ
ふつう、A4くらいであれば
数秒の露光時間であるが
30分とか1時間とかかったと記憶する。
そのあいだ、
地震どころかほんの揺れも許されないので
真っ暗の中で引き伸ばすピラミッド型の光をながめながら
息を潜めてじっとしているのである。
粗粒子状態の結果を創り出すプロセスは
あらかたこうだったが、
NIKONサロンでの構成で
畳2畳分の大きさの全4を何点か入れることにした。

ここまでの大きさとなると
自分の暗室では無理なので
写真弘社というプロラボに依頼した。
ところがなかなか
プリントが上がってこない。
それはそうだ。
わが暗室で1時間かかるのを
その何十倍の畳2枚分の大きさなのだから。

考えたらしく
引き伸ばし機の中のランプを明るいモノにしたそうだが、
その結果、
ドイツのライツ製の引き伸ばし機のランプハウスを焼いてしまったそうだ。
そんなエピソードも残して
写真展は成功裏に終わった。

ここにある写真は、
手元に残る数少ないプリント。
再プリントは難儀なのであるからして。。